はるまきさんの記録

自死遺族として考えたことを記録します。

「弱さ」へのまなざし

 父を亡くして半年あまりの頃、私はわらにもすがる思いで自殺に関する本を読んでいた。
 その時に出会った本に、木原活信・引土絵未編著『自殺をケアするということー「弱さ」へのまなざしからみえるものー』というものがある。カバーにある内容紹介によれば、
「遺族や自殺予防の臨床現場で働く専門職、スピリチュアリティといった様々な視点から、自殺問題を取り巻く「弱さ」に目を向ける。それぞれが抱く「弱さ」をみつめ、自殺予防も含めた「ケア」について、各分野の研究者がそれぞれの立場から迫る、画期的な一冊。」
とあり、この本は、父を自死で亡くして様々な感情に飲み込まれそうになっていた私にとって、まさに画期的な一冊となったように思う。
「弱さ」について、編著者の木原さんは、「はじめに」の中で、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の最後の言葉、
「日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き みんなに『デクノボー』と呼ばれ 褒められもせず 苦にもされず そういうものに わたしはなりたい」(原文カタカナ)
を引用したうえで、「しかし果たして、弱さは否定され捨て去られるべきものなのであろうか。」と投げかけている。
 私が最も心を揺さぶられたのは、父を自死で亡くし、その後ソーシャルワーカーとなった女性の体験談の部分。いくら書籍として出版されているとはいえ、ここにまとめて書くようなことはできないけれど、この方の書いたこの文章が私の一つの指針のようなものになっている。私はこの方に、書いてくださりありがとうと言いたいし、自死遺族の方、それ以外の方にもこの文章を読んで欲しいなと思っている。